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となりの院長さん

第14回 北摂夜間救急動物病院 神津 善広 院長 制作日:2015年9月7日

北摂夜間救急動物病院

神津 善広(こうづ よしひろ) 院長 1964年3月23日生(51歳)神奈川県川崎市出身

【出身大学】
日本大学 医動物学研究室

【代診時代-修業先】

  • 中川獣医科病院(横浜市)
  • ダクタリ動物病院(東京都)
  • 米国海軍横須賀基地

【役職・所属学会・所属協会】

  • 夜間救急動物病院を運営している葉月会役員
  • 所属団体:日本動物病院福祉協会、日本獣医画像診断学会、日本獣医癌学会、日本小動物血液透析協会

【セミナー】
葉月会では、学術振興と技術向上のために、さまざまな獣医学セミナーを主催しています。

▼これまでの主なセミナー

  • 廉澤剛先生(酪農学園大学)腫瘍外科
  • 藤田道郎先生(日本獣医生命科学大学)呼吸器セミナー
  • 竹村直行先生(日本獣医生命科学大学)循環器セミナー
  • 原康先生(日本獣医生命科学大学)神経外科セミナー
  • 辻田裕規先生 眼科セミナー

など

【開院時期】
夜間救急動物病院と北摂ベッツセンターそれぞれ
1998年大阪北部を中心とした開業獣医師(約60施設)が主体となり夜間救急動物病院を設立。
2005年にCTを導入し、2007年に高度動物医療センター、2013年に北摂ベッツセンターと改名し現在に至る。

【診察対象】
診察対象は犬猫、鳥、ハムスター、フェレット、うさぎなど。そのうち90%が犬と猫という構成。犬猫の比率は7対3。

夜間救急動物病院の着想から実現まで

大阪のネオベッツグループが日本で初めて開設した動物夜間救急に倣い、大阪と京都南部の間に生まれていた夜間動物医療空白地帯にその空白を埋めるため、大阪北部の有志の獣医師たちで夜間救急動物病院を開設。

60施設でのスタートだった出資施設も2015年現在では200施設に増加。患者(飼い主様)および地会員病院様、ご利用される獣医師の先生方のニーズの変化に合わせて、医療設備の充実を図っている。

「ここ十数年で夜間だからといって危篤状態の患者を受け入れるだけでは飼い主さんは納得しないし、できない時代になっていった。そこで患者(飼い主様)ニーズに応えるためにCT、MRIにはじまる医療機器の導入を進め、できる限り飼い主にも診察にあたる獣医師にも納得感の高い医療設備を揃えてきた」と神津院長は言う。

夜間救急動物病院の着想から実現まで
夜間救急動物病院の着想から実現まで

取材時にもCTの更新がひかえており、今後より的確な画像診断が可能になる予定。その他検査機器も血液検査から血液透析まで一通りそろっていて、人間の病院でいうところの総合病院のような充実ぶりであった。

時代の中で変化していく患者ニーズに合わせて、柔軟に対応してきたことが継続の難しい夜間救急動物病院の施設維持につながっていることは間違いない。

夜間救急動物病院を続けていくために、求める獣医師

飼い主様のニーズの増加とは逆に臨床、しかも夜間に対応出来る獣医師は少ない。そこで今後の施設を維持・拡大していくために病院が求める人材をインタビューした。

―Q1.夜間救急動物病院で働くうえで必ず必要な資質は何ですか?

「夜間救急ということで、まず夜間に仕事ができる人材か、そうでないかの判断が難しいので、まず見学、試用期間中にその先の可能性を探していきたい」。

―Q2.ほぼすべての患者が救急ですが、難しいところはありますか?

「臨床経験3年以上の経験があっても、最初はなかなか難しいこともあり、思うような活躍ができないかもしれないが、そこは先輩たち、病院内の機器をフル活用してもらって、夜8時~明朝という「医療の空白」を埋める獣医師になってほしい」。

夜間救急動物病院を続けていくために、求める獣医師

―Q3.今すぐにほしい人材はどんな人ですか?

「CTの機器更新もあり、直近ではCT検査に興味を持っている方を特に希望しているが、基本的には救急医療に興味のある獣医師に手伝ってほしい。専門分野(外科、MRI、 CT、再生医療、エコー、内視鏡、血液凝固・線溶系など)に関心のある方も十分に実力をつけられると思われる」。

―Q4.夜間救急動物病院で働いて得られるものは何ですか?

「診断力、処置力、責任感、協調性、いろいろな面において圧倒的な経験を積める。確かに夜間勤務のしんどさはあるが、それ以上にここの濃い時間が獣医師として否応なくレベルアップさせてくれる」。

施設のミッション

施設のミッション

「ひとつの動物病院ではできないことを共同で行い、家庭動物医療における社会のニーズに応える」

後発の施設、これから設立する施設にアドバイス

後発施設からたびたび施設見学などを受け入れている神津院長にこれから夜間救急をはじめる施設にアドバイスを頂いた。するとどれが一番というわけではないが、ということで院長が開院以降肌で感じていることをまとめてもらった。

  1. 患者ニーズの把握
  2. 人材確保
  3. 設備調達

やはり、飼い主の要望に対してどのように応えていくか、というところが神津院長の考え方の基本になっている。飼い主が求めていること把握できる獣医師、それを解決できる設備、設備を使い切れる人材。動物でも人間でも夜間救急は距離に制限されるサービスなので、今後は全国的にこのような考え方をもったネットワークが広がるものと思われる。

施設紹介

施設紹介

夜間救急に関して、飼い主の皆さんに改めて伝えたいこと

いま改めて来院される飼い主さんに伝えたいことを聞いてみると、神津院長自身が当施設に来てから、救急で来院されるなかで最も多いのが「誤飲」した犬や猫。

神津院長:「誤飲というのはしつけでコントロールできるものなので、少しでも不安感がある飼い主さんは、ぜひもう一度しつけのし直しをして、予防してほしい」。

また、夜間救急ということで、緊急性が高く、検査も処置も複数しないといけないので、どうしても治療費は高くなってしまう。
神津院長:「最近ではペット保険というものも一般化してきたので、転ばぬ先の杖といった感覚で加入されることをお勧めします。保険適用できるケースは多々あるので飼い主さんのメリットは大きいと実感しています」。

今後の展望に関して

今後の展望に関して

長期目標は24時間救急受入

「専門医との連携、一次受け入れの態勢整備、施設設備などを充実させ、24時間いつでも急患が受け入れ出来る施設にしていきたい」

取材を終えて

夜間救急動物病院へお邪魔するのは初めてのことで、いわゆる動物病院との差が良く理解できていなかった。

そんな状態で施設内の設備を見ていると、総合病院(人間の)でいうところのER、つまり救急医療センターのままの雰囲気を感じられ、そこでようやく急性期に特化した動物病院だとハッキリ理解できた。

取材準備をしている時間にも急患が来院し、神津院長は取材を受けつつも度々席を外され診断、検査、処置を続けていく。こちらとしても気が気ではなかったが、将来の夜間救急を担う獣医師に、この現場が求めていることが届くように、なんとか最小の時間でインタビューを進める。それに真摯に答えてくれる神津院長の姿勢がまた印象的だった。

取材を終えて夜の大阪を運転していると、「我々は医療の空白を埋める」という院長の言葉が思い出されてきて、ここ北大阪地域の人には心から安心できる施設だと改めて考えさせられた。取材者としても一飼い主としても、全国で同様の施設が開設、運営されることと、志を持った若い獣医師達がその後をつないでくれるのを望むばかりだ。

北摂夜間救急動物病院

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