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となりの院長さん

第12回 やまと動物病院 鈴木 健吾 院長 制作日:2014年3月3日

やまと動物病院

鈴木 健吾(すずきけんご)院長 1976年6月26日生(37歳)辰年 静岡県静岡市出身

【出身大学】
北海道大学

【代診時代-勤務先】
大学卒業後、子供のころから通っていた地元静岡の動物病院で3年間勤める。縁あって勤務していた病院の娘さんと結婚。
2005年、結婚を機に病院の飼いネコの名前である「やまと」にちなんで「やまと動物病院」を開業。
もともとの分院であった瀬名病院と併せて運営を行う。
その後、ショッピングセンター内開業型の駒越病院、静岡南病院を相次いで開院。

【開院時期】
2005年、勤務先で事業継承、リニューアル開業。

【診察対象】
犬7割に猫3割のスタンダードな診療割合だが、うさぎ、鳥、エキゾチックアニマルと診療対象は限定しないスタンス。「診れるものはすべて診たい」と若き院長のモチベーションは高く、取材当日もその言葉を裏付けるように3頭のカメレオン、フトアゴヒゲトカゲ、うさぎ、オカメインコ、ウーパールーパー、猫と多様な動物が迎えてくれた。

【役職・所属学会・所属協会】
・日本獣医神経病学会
・日本獣医がん学会

【勉強会(JBVP)】
月一回、島田で開催中の日本臨床獣医学フォーラム、また所属学会の年次大会、東京~大阪で行われるセミナー等には積極的に参加し、継続的な情報収集と横のつながりを大事にしている。日頃から気になっている先生にはこういった機会を利用し、自分から話しかけることで知り合いになることが多いという。

【診察コンセプト】
1. エビデンスに基づいた最先端の医療
2. 低侵襲な医療
3. 動物に優しい医療
上記3つの考え方を融合させて「最先端の医療」を安心して受けてもらう、これがやまと動物病院の基本的な診察コンセプトだが、取材の中でこの最先端医療の追求に対し、なぜMRIをはじめとする医療機器の充実ぶりをホームページや院内で前面に出していないのか聞いたところ、「患者さんにとって知りたいことは、病院のハードよりもソフトの面。どんな医療機器がその病院にあるのかではなく、自分の動物をどれだけ親身になって診てくれるかが重要。」と鈴木院長は言う。「動物に優しい医療の融合」というのはこのことだろう。2008年から頻繁に更新されているホームページの「病院からのお知らせ」には数々の症例が非常にわかりやすい動画とともに掲載されている。

病院紹介

静岡市内に4つの病院を持つやまと動物病院は、本院にMRIを導入し、高度医療を推進している一方、本院同等の設備(MRI除く)を持つ瀬名病院でも同じような症例数に対応できる規模を持ち、さらに、既存のショッピングセンター内開業型の動物病院では考えられなかった規模の動物病院(瀬名病院と同規模)を運営している。ここまで聞いて、一般的な開業医でないということが判断できたため、病院と言うよりも組織運営について掘り下げて聞いてみた。

現在、獣医師8名、VT20名、受付5名を有する規模に成長した「やまと動物病院」だが、鈴木院長はご本人が子供のころから通っていた動物病院で事業継承した背景もあってか、この場所、地元静岡で獣医師を続けることに強い思いを持っている。そのため、本院勤務医や分院の獣医師にも一生続けられる仕事としての待遇や環境を整えるように努めている。勤務医が毎月交代でエキゾチックアニマル専門病院に研修に通っているのもこの一環である。VTも一番長い人で10年以上と勤務期間は長いが、一度結婚などで退職した人が戻ってくるケースも現在4名。獣医師にもVTにも居心地が良いということは動物にとってもそうであろう。VTの中にはJAHA認定のパピーケアスタッフもいて、定期的にしつけ教室を開催している。また、近隣住民への配慮として土曜日には駐車場の交通誘導ガードマンも起用している。

院内設備はMRIをはじめとして内視鏡、ハイエンド超音波診断装置といった高度画像検査ができる機器がそろっており、市内~県外の獣医師から紹介を受け付けている。

注力している診療科

北海道大学時代は臨床分子生物学講座において内科診療を勉強する傍ら、画像診断に興味を持つ。卒論は「シリアンハムスターにおけるウマヘルペスウイルス9型(EHV-9)脳炎のMRIによる経時的観察」。MRI撮像の技術、拡散強調画像・脂肪抑制法などのMRI特殊撮像法、免疫染色や中枢神経系の特殊染色などの病理組織検査技術を大学時代に学ぶ。

こういったバックグラウンドから、鈴木院長は「椎間板ヘルニア専門外来」を立ち上げた。これまでの椎間板ヘルニアに対する画一的な外科的アプローチを見直し、MRIによる画像診断を治療の軸とし、手術適応と内科適応との画像診断による鑑別を進めている。

実際に臨床症状とMRI画像の読影と解析(椎間板の逸脱の程度、逸脱した椎間板物質の性状、浮腫など脊髄の状態)を照らし合わせることで治療精度は格段に高まると言う。

病院間連携では特殊な外科手術や放射線治療は大学病院やJARMeC(日本動物高度医療センター)へと、必要な時は十分対応できる体制を築いている。

今後の展望に関して

今後も地元静岡でやってきたこと、培ってきたものを大事にしながら、この地で動物病院を続けていきたいというのが鈴木院長の基本的なスタンス。その中でやまと動物病院を頼って来院する患者さんはすべて診てあげたいという根本的な診療方針は変わらない。診療に関しては整形外科にこだわらず、消化器科や腫瘍科、その他いろいろな診療科を診れるよう病院は拡大する方向にある。

将来独立を考えている獣医師にむけて

「日本の場合、飼育動物数に対する開業密度は世界でもトップレベルとされています。さらにこれからはペット自体が減少傾向にある時代なので、独立志向の人には厳しい時代になると思います。専門性を磨いて副院長を目指すのも一つの手ですが、開業するのであれば、まずは年収1000万円を目標にしてはじめるべきです」(鈴木院長)事実、動物病院は、開業時の年齢が低いため院長の収入は低くても構わないという獣医師が少なくない。開業後5年間はそれでも回るが、その後のプランが無いため行き詰っている動物病院が多い。また、開業場所も病院規模もしがらみにとらわれ、流された結果、獣医師としての成長を阻害しているケースも多々ある。目標年収を1000万と決めることで見えていなかったことが見えてくる。

取材を終えて

約2時間ほど取材させて頂いた後で「獣医師だけの視点を持ちたくないから」という院長に趣味の空手で昇段試験を受けている動画を見せてもらった。中学生時代からやっているという空手はフルコンタクト系。10人組み手を最後まで倒れずにこなせば昇段と言うものだったが、最後の方は良く立っていられるなと感心するほど満身創痍の状態での完遂だった。昨今のマラソンブームの中でフィジカル面の充実があらゆる面で重要とされているが、鈴木院長の空手には、「フィジカルな面を鍛える趣味」の枠にはおさまらない、確かなメンタルの強さを感じた。

地元で育って、地元に就職し、地元で開業、大切にしていることは地域密着と事業の継続性、その地元で近所の道場に通う獣医師。なんだか患者が望む院長像そのままではないだろうか。

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