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となりの院長さん

第10回 四国動物医療センター 入江充洋センター長 制作日:2012年12月18日

長谷川孝寿院長

入江 充洋(いりえ みつひろ)獣医師 1965年9月19日生(47歳) 香川県高松市出身

【出身大学】
酪農学園大学

【所属学会】
日本獣医学会、日本獣医師会、日本小動物獣医師会、香川県獣医師会、香川県獣医師会小動物部会、日本獣医がん学会、日本獣医画像診断学会、日本獣医神経病学会、獣医麻酔外科学会、獣医皮膚学会、獣医歯科研究会、日本獣医臨床獣医学フォーラムなど

【勉強会】
讃岐みのり研究会など
勉強は院内だけでも月2~3回ほど、院外を入れると月3~4回は行っている。

【経歴】
卒業後、札幌市の星野獣医科で勤務医、
その後酪農学園大学で研究生、
そして大阪のメディカルセンター西田獣医で勤務医。
平成5年12月に入江動物病院開業。
平成23年に四国動物医療センターへ移行。

【診療対象】
基本的に犬猫。大型犬も診療。犬猫の割合は7:3くらいで犬が多め。

病院紹介

開業当初は入江動物病院という一般的な1次診療対応の動物病院だったが、当時四国には専門科を診療できる施設がなく、「四国で2次診療も可能な病院を作ろう」という構想から、四国動物医療センターへと施設規模を拡大していった。

現在、獣医師は入江センター長を含め5人、動物看護師9人、受付2人(動物看護師の1人が受付主任を担っている)。

それに加え、外部から専門科診療獣医師やアドバイザーを迎えている。
「医療センターになって大きく変わったところは、外部の先生の診療があるというところですね」(入江先生)
定期的に外部の専門医に来てもらうことで、2次診療まで可能な施設になっている。
他院からの紹介症例は腫瘍や神経疾患の疑いが多く、月に20件ほどである。

施設内部は診察室が2つ、処置室、手術室に加え、CT室とMRI室を備えている。冷暖房完備の入院室は大型犬も収容可能で、受付から入院室まではすべて広々として明るく、清潔な印象である。

多くのスタッフをまとめるコツをお伺いすると、「スタッフのモチベーションを上げることを常に心がけています」という入江センター長。全員で話し合うとまとまらないため、センター長とスタッフの間に主任を置いて、スタッフ間で話し合ったことを主任会議でセンター長と話し合う、という体制を取っているということである。

診療コンセプト

「ご家族に納得していただける医療、ご家族の立場に立った診療ですね」

あとは「確定診断」この病気は何が原因でどうなっているのかを確実に見極める。確定診断をしないと的を射た治療ができないからだ。民間の施設では珍しいMRIを導入したのも、そのためだそうである。

獣医師として大切にしていること

「自分が獣医師入江に診てもらいたいか、ということを常に考えていますね」
自分で自分に診てもらうのは無理だな、と思うことには手を出さないという。不得意分野は専門の先生に診てもらう。そのために外部の専門性の高い獣医師の診療がある。

入江センター長の専門は腫瘍と内科。

現在は腫瘍の専門医(米国獣医内科学専門医)というのがあるが、入江センター長の時代には専門医という資格制度はなかったそうである。
「僕たちは専門医ではないので、『腫瘍のジェネラリスト』って自分では呼んでいるんです」
腫瘍に関する画像の診断もするし、腫瘍と他の病気との鑑別もするし、手術もする。腫瘍に関連することは全般的にやるのだという。

腫瘍は近年増加傾向にある。

それは、「動物が長生きになったことと、僕たちの診断スキルが上がって、見つけてあげられるようになったこと」による。アメリカのデータでは、高齢になると半分以上が、がんで亡くなっているそうである。

今後の展望

「腫瘍の診断と治療をもっとできる病院に。スタッフも育てていきたいし、あとは専門診療をもっと充実させていければと思いますね」

現在でも、治せない腫瘍は多いという。
「人は治せるのに、動物は治せないという“がん”がいっぱいあるんですね。それを何とか治していこうというグループを立ち上げてやっていこうとしています」

これから開業を考えている獣医師へ向けて

「自分の得意分野を見つけて、自分で自分に診てもらいたいかということを問うて、そこでOK!というものを診る、という風にしていくべきだと思いますね。万能な人はいないと思うので」

おまけ 学生時代について

「学生時代は、ひどかったですね。ただ、獣医に関することは好きだったので、動物病院や、北海道だったので牛の獣医さんの共済組合というのがあって、長期の休みはずっとそこに居ましたね」

酪農学園大学ということもあり、学生の時や卒業してからも3年くらいは牛を診ていた。でも最終的には病院をやりたいという計画が学生の頃からあったそうである。

「牛も診れて、犬猫も診れるというのがいいかなと思っていたんですが、教授に二兎追ったらいかんと、君は小動物の方が向いてるから小動物に行け、と言われて…」という訳で小動物に絞った。

取材を終えて

柔らかい物腰で、分かりやすくお話をしてくださった入江センター長。
そんな中でも、獣医師としての確固たるこだわりを感じました。

経営と診療のバランスについてお伺いした際、高度医療になるためご家族の支払う料金は高くなるが、収益に繋がるわけではないというお話が出ました。
「機材を入れる大きな病院ほど収益は上がらないので、賢い人は(病院を)大きくしないんですね」と入江センター長。それでも確定診断にこだわり、MRIまで導入して診療にあたる姿勢。当たり前のようで、実際は難しいことなのではないでしょうか。

自分の専門科に関しての努力は惜しまず、そのかわり「不得意なものは診ない」というはっきりとした姿勢も、誠実さの表れなのだと思います。

取材を終えて、2階にスタッフ用にファミレスにあるようなドリンクの機械があったのが印象的でした。「(スタッフには)仕事が忙しく、休みが少ないという不満などもあるかもしれませんが…」と仰っていたセンター長の、スタッフに対する思いやりが見えた気がしました。

四国動物医療センター

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