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となりの院長さん

第8回 倉吉動物医療センター・山根動物病院/米子動物医療センター 髙島一昭 制作日:2011年5月9日

髙島一昭 院長動物倉吉動物医療センター山根動物病院

髙島一昭 総院長 昭和43年11月生(43歳) 広島県広島市出身

【出身大学】
山口大学農学部獣医学科家畜外科学教室
鳥取大学大学院医学系研究科医学専攻博士課程

【診療対象】
診療対象は主に犬と猫、その比率は70%と25%、ウサギなどのエキゾチックアニマルは5%ほど。

【所属等】
倉吉動物医療センター、米子動物医療センター総院長
公益財団法人動物臨床医学研究所所長
獣医学博士
医学博士
獣医循環器認定医
日本小動物外科専門医

【所属学会】
鳥取県獣医師会、動物臨床医学会、日本獣医学会、
日本獣医循環器学会、獣医麻酔外科学会、
日本獣医画像診断学会、日本野生動物医学会、
日本癌学会、日本病理学会、
獣医腎泌尿器学会、獣医神経病学会、
日本犬糸状虫症研究会

【役職・所属学会・所属協会・勉強会】
動物臨床医学会理事
日本獣医循環器学会評議員
日本獣医学会評議員
獣医神経病学会評議員
日本犬糸状虫研究会地方幹事
動物のいたみ研究会副委員長
小動物臨床栄養学研究会副委員長
日本獣医画像診断学会評議員
日本小動物獣医学会(中国地区)幹事
獣医麻酔外科学会評議員

今後獣医を目指す学生に向けて

質問:幼少期について教えてください

漁師、メカニック、獣医師にあこがれていた。
髙島一昭 院長
【まず漁師】

マリンレジャーが好きであったため、和やかな瀬戸内の漁師を考えていたが、当時の広島では漁業権が買えなかった。小型船舶とスキューバーダイビングのライセンスは、15歳の時に取得。準備はできていた。

【次にメカニック】

祖父がオートレーサーであり、自動車の総代理店を営んでいたため、初めてバイクに乗ったのは小学4年生、車は中学1年生という環境だった。しかしながらバイクではウイリーができず飽きてしまう。またサーキットでギア比の調整やサス・セッティングしている行為になぜだか興味が持てなかった。

【最後に獣医】

消去法ではなく、3つの憧れの中で一番現実的な進路が獣医師だったように思う。広島の実家では絶えず犬か猫がいたし、ある時は孔雀までいた。祖父おかかえの獣医さんがいたり、親戚に広島JKC(1)の役員もいた。たくさんの動物に囲まれて育ち、また、その死に遭遇してきたため、その子たちを救いたいという気持ちから、獣医師になりたいと思っていた。

【大学入試までは】

地元では勉強ができないという両親の判断から福岡で1年間浪人生活を送る。当時の両親の判断は、今考えても正しかった。

1)日本国内における犬の品種の認定および犬種標準の指定、ドッグショーの開催、犬の飼育の指導、血統書の発行、公認トリマー、公認ハンドラー、公認訓練士等の公認資格試験の実施と公認資格発行などを行っている。

質問:学生時代を一言で表すとすると

全く勉強しなかった2年間と、勉強しかしなかった4年間。

髙島一昭 院長「一般教養が面白くなく1年前期はほとんど大学に行かなかったが、大学のテストがあんなにマニアックとは思わなかった。文系科目はすべて100点満点中20点程度しかとれず、進級は後期の結果次第という状態だった。失敗した。その後も文系の授業に興味が持てなかったが、留年しそうだったので頑張った。2~3年途中まではアルバイト中心の生活だったと思う」(髙島院長)

3年生の12月になって外科に入ると生活が一変し、教官3人+学生の状態の中で、食事を摂る暇もなく、麻酔、入院の世話、先輩の研究サポート、掃除、洗濯など、しなくてはならないことが多っかった。外科に入ったその日、夜中の2時に血液塗抹を作成してたことを覚えている。毎日が外科一色に染まった。ただ、そんな環境の中でも「辛いと楽しいは表裏一体」といった思いで勉強や実習に臨んでいたという。それこそ授業が終わるとすぐに病院に向かう日々にあって、端から見れば、どう考えても辛そうな生活パターンや学業を本人は全く辛いとは思っておらず、むしろ知らないことを知る楽しさで満たされていたらしい。

山口大学卒業後

頭のてっぺんから足の先まで獣医学に浸かった生活を送っていると、少々の自信もついてきて、外科でやっていることならほぼマスターした気になっていたという。そんな時に参加した小動物臨床研究会の発表で人工心肺を使い心臓を止めているビデオセッションに衝撃を受け、それを行っているのが、鳥取の病院ということであった。大学に帰りそのことを教官に伝えると、その鳥取の病院、「山根動物病院の山根院長はよく知っているので、一度会ってみるか」ということになった。

後に山根義久院長に面談させてもらったが、面談時には日本の農業について1時間ほど一方的に語られてしまう。就職の件を相談するが、労働条件について院長は把握しておらず一抹の不安を抱える。以後、就職するも山根先生は入れ違いで農工大の教授に。それでも腐らずに勤務していると驚きが待っていた。

現役の獣医師、獣医療関係者に向けて

質問:修行/代診時代はどこでしたか?

山根動物病院で3年間勤務後、広島で開業を予定していた。が、勤務してすでに18年目に。

質問:どんな新人でしたか?

「生意気な新人、しかし井の中の蛙だった。いや、本当に」(髙島院長)。

髙島一昭 院長大学の経験もあるので、一次診療も普通にこなせると思っていたが、綿棒を渡され、「髙島先生、耳の検査をお願いします」と言われたときに何もできず、頭の中が真っ白な状態に。自分は臨床について何も知らないと初めて思い知らされた。

大学での経験で、ある意味わかっていると思っていた獣医学だが、耳検査の他にも、おう吐、下痢の対処、心電図の読み方、エコーのとり方など、外科系以外何も知らない自分に気づいた。知らないことを勉強することが純粋に面白く、ここでも「楽な仕事は面白くない」と考えており、同僚からは辛そうに見えた仕事だったと思うが、自分自身は非常に楽しくやらせてもらっていた。

また、当時月一回の他院との合同カンファレンスが実施されており、症例発表を毎月行っていたが、そこでも自分の実力というのが客観的に見えるので、自身の力不足を実感したという。

現在の診療コンセプトは

「インフォームドコンセントの視覚化」

内観倉吉動物医療センター・山根動物病院のコンセプトは、「見せる(魅せる)」こと。病院の中も外から丸見え、待合室から診察室や処置室が見え、各検査室や入院舎も見えるように工夫している。2階の手術室までも外から見えるようになっている。
飼い主さんに対し、結果を伝えるだけでなくその診断治療のプロセスも見てもらうことで、いっそうの安心と信頼が得られるものと考えている。また、待ち時間でも他の診察や検査風景を見ることができるので、この病院の診療スタイルを理解してもらうことにも役立っていると思っている。

また、飼い主さんによって満足のポイントが違うことを特に重要視している。診療対象はヒトではなく犬猫の動物だが、飼い主さんが満足する治療を提供できるかどうかが大事なところなので、自己満足の治療にならないよう、「犬を診ながら飼い主さんも見る」ことを教えている。

現在の診療コンセプトは

医師小動物臨床研修施設の協力型臨床研修施設の基幹診療施設として、農林水産大臣の指定を受けており、心臓病はもとより、神経病や消化器病、皮膚病など様々な疾患に力を入れている。
学生のころ衝撃を受けた人工心肺装置はもちろん、Cアーム、マルチスキャンCT、カテーテル装置などの装置を導入済み、現時点でもトップクラスの設備状況だが院長は最先端医療に重きを置き、今後も更なる設備導入を計画されている。

多数のスタッフをまとめることに関して

「和をもって貴し」

「飼い主さんに対して、愛想悪いのは最悪だよ」という極めてわかりやすい言葉で職員教育をしている髙島院長。お金をもらいながら診察させてもらっているという状況で、飼い主さんと病院側のどちらが上とか下という話になるのがおかしい。という考え方が動物病院運営の根本にあるらしい。

「嫌なら辞めれば」

また、「嫌なら辞めれば」という厳しい一面も持っている。これは一見ドライに思えるが、院長は、せっかく縁あって同じ職場で働いているのに、その中でグループだとか派閥だとか、誰それが嫌いといったネガティブな時間の過ごし方は、本人はもとより誰にもメリットのないことなので、これだけは徹底している。そしてその言葉の裏には非常に高いプロ意識や向上心があることが伺えた。

今後の展望

医療機器

髙島先生自身が当病院に就職した頃は時代背景もあり、理不尽なことも多々あった。そのころの動物病院はまだ現在のような組織化が進んでおらず、山根先生を核としたワンマン病院で、良く言えば地域に根差している病院、裏を返せば飼い主さんによって対応が変わったりしていたそうだ。

院長になってからは、内外の反対も多々あったが診療体制の平準化を推し進めてきたという。

今後は海外とのやり取りの増加や人材、ノウハウ、設備を含めた診療の高度化、最先端医療の導入などはもちろんのこと、これまで以上に誰もが納得できる病院運営の仕組みを強化していきたいと考えられている。

院長からのひとこと

獣医師の職域は大変広く、ヒト以外の動物を対象とした医学です。
病気の動物に対する診断治療は言うまでもありませんが、動物から人に感染する人畜共通伝染病や動物と飼い主の心の関係など、動物のみならず人との関わり合いを考えなければできない職業です。病院スタッフが心を1つにして、動物を救うことにより、飼い主さんの心も癒せるような病院にしていきたいと思っております。

取材を終えて

倉吉のスタッフとともに動物臨床医学研修所(動臨研)と山根動物病院の総病院長を務めている髙島先生だったが、言葉の一つ一つに常に飼い主さんと臨床を意識していることが良くわかった。立場的には難しいことを難しく言えば良いポジションと思われるが、とにかく取材者に自分の言葉、考えを理解させようと、時に例を出したり、身振り手振りで説明をして頂けた。どうにかして相手に伝えようとする姿勢、髙島院長の務める倉吉動物医療センターでは外から眺めるだけでもそのコンセプトが理解できる。

本当にシンプルな事であるが、飼い主にとって「分かりやすい」ということは大事なことだ。

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