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となりの院長さん

第6回 大阪府立大学獣医臨床センター 久保喜平センター長

久保喜平センター長動物外観

久保喜平センター長 昭和25年10月生(59歳)北海道小樽市出身

【出身大学】
北海道大学 獣医学部 獣医学科

【経歴】
北海道大学卒業後、大学院へ進み獣医学研究科形態機能学において修士課程修了(1976年)、その後、1977~1990年まで札幌医科大学医学部で助手を務める。
1990年より北海道を離れ、大阪府立大学農学部に助教授として赴任、1999年より同大学大学院農学生命科学研究科、現獣医臨床科学分野、教授。

【大阪府立大学での所属履歴】

2005年〜現在 :大阪府立大学 / 大学院・生命環境科学研究科 / 教授
2002年〜2004年 :大阪府立大学 / 大学院・農学生命科学研究科 / 教授
1999年〜2001年 :大阪府立大学 / 教授・農学部

【研究分野】

  • 放射線・化学物質影響科学
  • 応用獣医学

【文献】

  1. デアザアデノシンによるX線潜在的致死損傷修復阻害の作用機序に関する研究
  2. DNAの脱塩基部位(apurinic/apyrimidinic sites)の新しい定量法について
  3. 遺伝子組換え型ヒト顆粒球コロニー刺激因子(rhG‐CSF)を投与した胆癌犬3例に認められたリンパ球幼若化反応の活性化
  4. C57BLマウスの内因性脾臓コロニー数と末梢血血球数の放射線適応応答に対するp53の依存性

【役職・所属学会・所属協会・勉強会】

  • 日本獣医学会
  • 日本放射線影響学会
  • 日本癌学会
  • 日本医学放射線学会
  • 日本獣医師会
大阪府立大学 獣医臨床センター
http://www.vet.osakafu-u.ac.jp/hospital/

獣医臨床センターの概要

府立大学獣医臨床センターでは救急、健康診断、ワクチン接種、フィラリア予防などの、いわゆる一次診療は行っていない。診療対象は各地の獣医師より紹介を受けた二次診療対象の動物である。このため一般の動物病院とは運営形態が異なっており、飼い主が最初に訪ねる近所の動物病院とは役割が違う。

外観医療機器

診療対象

診療対象は主に犬と猫、その比率は犬75%と猫25%。その他に牛や乗馬用の馬の往診、豚やウサギを診ている。エキゾチックアニマルの症例はほとんどない。

診療コンセプト

「教育・研究・臨床」

大学の施設ということもあり、上記3つの機能を複合的に実践することが役割であり目的となっている。

教育

医療機器臨床系に属している学生は、4年生の後期から準スタッフとして獣医臨床センターに登録が可能になるので、資格を満たした学生が診療活動に参加している。主に総合臨床実習(ポリクリ)を行うようになる。

現状のスタッフはほとんどが経験者で構成されており、経験年数5~10年のベテラン層が半分、残りの半分が経験年数2年以上のルーキー層となっており、組織作りの段階で教育機能を持たせるように考慮されている。

また、「臨床研友会」といった研修支援活動を行っており、月1回の頻度で近隣の獣医の方々に施設/設備/場所を提供し、勉強会や研究会のサポートを実施中である。特徴的なのは施設の対応人数が50~60人までと、非常に多いところ。

研究

研究教員がそれぞれに臨床テーマを持ち、研究にあたっている。勿論、獣医臨床センターでの担当症例も自然とそのテーマに沿ったものになり、いろいろなレベルでチームや個人で、業績発表にあたっている。

課題としては、研究費の確保と研究体制のサポートの2点がある。これには大学当局との話し合いを重ねることで解決される部分と、スタッフの診療・教育回りの忙しさを緩和することによって解決できる部分があり、お金で解決できる部分は積極的に対策を実施しており、人材や獣医臨床センターの仕組みで対応すべき部分は、時間をかけてスタッフに教育や診療もおろそかに出来ないという面に理解を求めながら人員の増加と、設備面の充実で対応を行っている。

獣医臨床センターでは、個人/チーム関わらず、研究を活動の中心に考えている。

臨床

医療機器内科も外科も二次診療から受け持つということは、高度治療を中心とした臨床体制が整っているということであり、以下のような体制となっている。

診療科
内科診療科・外科診療科・繁殖診療科・放射線科・検査科・麻酔科・中央手術部・入院管理科

これらの診療科、部に加えて、設備面は以下の通り。
高度診断機(MRI・X線・CT・電子内視鏡)、高エネルギーX線照射治療装置、超音波・レーザーメス、血液透析装置、直視鏡手術装置

この中でも、正常組織を破壊せずに腫瘍だけ破砕・吸引が可能な装置としてレーザー手術装置や、直視鏡手術装置(間接鏡および腹腔鏡)を導入しており、高度先端治療や侵襲性の低い手術を実現している。また、放射線治療ではリニアック(4MV/X線・3~7MeV/電子線)を導入し、脳腫瘍、鼻腔内腫瘍、口腔腫瘍、骨肉腫、血管肉腫、胸腺腫、悪性リンパ腫、肛門周囲腺癌など手術では手の届かない部位の治療にもアプローチしている。

今後導入を考えている設備は、手術用高性能顕微鏡(マイクロサージェリー用高性能手術用顕微鏡)、核医学施設(PET検査、SPECT検査)ということ。特に核医学施設は平成21年の獣医療法施行規則の改正で放射性同位元素、テクネチウム99mとフッ素18が取扱可能となった背景を受けての計画なので、早期実現されるかもしれない。

今後の展望

「関西の獣医療中核診療施設として、急ピッチで施設、設備と人材を揃え、一定の結果にはつながったが、今後は一次診療関係者との強固なネットワークの整備を第一に考え、本当の意味でのセンターを実現していく」(久保センター長)
具体的にはインターネットの活用によるネットワークの強化や認知度の向上、研究会へのさらなる協力、著名獣医師の招聘継続など、人を中心とした対策を考えられている。

取材を終えて

動物獣医療法遵守のため告知方法が限定されており、高度先端医療が実現出来る設備を知ってもらう機会が限定されてしまうと言うのが久保センター長の悩みの一つであった。関西圏の獣医師の方はこの機会に一度施設の利用を考えられて見てはいかがだろうか。また関西国際空港からのアクセスが一番便利という利便性の良さもあるので、関空が利用できる獣医師の方も是非。

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大阪府立大学 獣医臨床センター