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となりの院長さん

第1回 石川動物病院 石川 勝行 院長

石川勝行院長石川勝行院長

石川 勝行 院長  昭和34年1月1日生 (49歳)

石川動物病院院長。宮崎県生まれ、麻布大学院獣医学研究科獣医学専攻修士課程終了後、玉川動物病院・みどり動物病院に勤務。
現在は石川動物病院の院長として数多くの動物を診察する一方で、飼い主と病院の格差をなくすために、「動物と仲良く暮らそう」セミナーを開くなど、積極的に活動されている。2007年2月博士号(獣医学)取得。

趣味は仏像・寺院建築物鑑賞で、とりわけ東大寺には年に10回ほど通っており、自称「東大寺研究家」。また、時間的に余裕がある時は近くの河川敷や公園をジョギングしフルマラソンにも出場。ギターはRODRIGO Y GABRIERA の「天国への階段」をコピー中。ビール好き。

  1. 鳥取県動物臨床医学研究所(動臨検) 評議員
  2. 日本獣医学会 評議員
  3. 中部小動物臨床研究会
  4. 日本獣医皮膚科学会 オーガナイザー
  5. 日本獣医がん研究会
  6. 大阪麻布臨床獣医研究会

石川動物病院
http://www.informs.jp/

病院紹介

名古屋市の中心地である栄から地下鉄名鉄線に乗り10分強で到達できる守山自衛隊前駅を降りると、そこは旧街道(瀬戸街道)の趣きの残る町並みが広がっている。その町並みを3分ほど歩くと、白を基調とした青い看板を目印にした石川動物病院が現れる。

戸建ての1階を病院としており、玄関のドアを開けるとすぐに受付・待合室があり、そこから診察室、処置室へとつながっている。

病院の間取り病院の間取りは、中央に位置した処置室から診察室・ICU・手術室・入院室へとアクセスが容易で、かつガラス張りで相互に状況を確認しやすい形で構成されている。

ガラスを多用しているため圧迫感の無い設計であり、全体を通して非常に整理された診察室・処置室の状態から患者への心遣いと病院スタッフ全員のモチベーションの高さが感じられる印象を受ける。

診療コンセプト~命に誠実・分かりやすい獣医療~

石川動物病院では、獣医師5名、看護師3名、その他のスタッフ1名の計9名で診療にあたっている。石川院長は日頃、スタッフ全員に対して「命に誠実・分かりやすい獣医療」を心がけるように指導を徹底しているという。
近年の動物病院での医療機器、特に検査機器の発達は目覚ましいものがあるが、検査結果だけを見て判断するのではなく、動物をきちんと診る、すなわち視診・触診など五感をフルに活かした診療や、体温・体重・顕微鏡など基本診療が重要だと院長は語る。

「確かに治療を行うのは獣医師であるけれども、動物の病気は、動物の治癒力、その治癒力を有効に活用できるように的確な治療を行う病院、そして家庭での愛情ある温かく献身的な看護、この三者が揃ってはじめて克服できるものと考えています。三者が互いの知識を共有することも必要です。」

そのために同病院では飼い主とのコミュニケーションは怠らない。口頭だけではなくイラストや図を多用したわかりやすい病院手作りの資料を活用し、飼い主と一緒に見ながら説明を行うなど、多くの工夫を行っている。例えば、手術を行う際の説明には、飼い主への説明は最低でも20分はかけるという。お互いに知識を共有する手書き説明書を作成しながら説明しているとのことだ。『このような工夫は、飼い主に理解してもらうのは当然ではありますが、飼い主のいかに不安を取り去るかということが最終的には患者の治癒に関係してくるんですよ』と石川院長。

また、同病院では「動物と仲良く暮らそう」セミナーを年一回に市内のホテルで開催している。このセミナーはスタッフの手作りのアットホームな雰囲気の中、「検査はなぜ必要か」「自宅で注意して見てほしいこと」などを病院のスタッフが講演し、飼い主との相互理解を図っている。イザという時には、なかなか冷静にはなれないものだが、このセミナーに来ていただいた方は、病院に来られた時にスムーズな情報提供を受けれるという。また、病院の外で行われるため、硬い雰囲気にならず積極的な質疑応答がされているという。

注力している診療科

内視鏡についての診療を伺うと、『もともとは癌の検出と異物除去が狙いだったんですがね』そして石川院長は照れくさそうに、こう続ける。『まだまだCT検査までは一般的ではないですが、血液検査やX線検査だけから推測して開腹手術を行うのではなく、内視鏡で確実に診断してから手術することが必要になってきました。内視鏡はCTでは見つけられないものも見つけることができます。これまで、試験的開腹術という言葉を使ってきましたが、各種の内視鏡を駆使することで試験的開腹はほとんど行わなくなりました。それにより動物と飼主の負担・不安が軽減される。また、腫瘍や臓器の機能性を確実に診断していくためには、臓器の生検も欠かすことはできない。デジタルな検査結果(数字的診断)以上にアナログな検査結果(組織診断)が求められています。そのためにも内視鏡は当院では既に必須の器具になっています。例えば、消化器内視鏡による腫瘍やIBDなどの診断、腹腔鏡による臓器生検と腫瘤摘出の是非の判断、膀胱鏡による尿道・膀胱の腫瘍やその他の疾患の診断を確実にして手術・処置・投薬を行っています。』

動物は痛みや身体の状況を伝えることができない。しかし再発する嘔吐・下痢・血尿・頻尿など、一般的な症状の中には重要な疾病が隠されていることが多い。そのため、早期に内視鏡により原因を見つけることが必要となる。内視鏡による診断・治療が増えることにより、今まで発見されなかった疾患や病態が分かっていくのではないかと思われる。内視鏡は異物除去や癌の検出だけの道具では無いのです。

今後の展望に関して

「日々勉強ですよ」石川院長は言う。
獣医療では皮膚科の疾患が多いが、実際に大学で多くを学ぶわけでは無かったから苦手意識もあったという。10数年前から小さな研究会に、皮膚科の先生を毎月呼んでレクチャーを受けた。苦手から興味ある診療科目にすることができた。また、病院全体のレベル向上のため、同病院の獣医師は年1回以上の研究会・学会発表が義務づけされており、看護師も研究会発表を行っている。病院のスタッフ全員が相互にレベルアップできる環境がここにはある。

さらに、今後はCTなどの画像診断の充実・腹腔鏡を用いた手術技術の向上により、よりトータルな腫瘍診断と治療の確立、より患者に負担の少ない治療を目指していきたいと考えている。

最後に

取材を終え、退出しようとした折に、受付にある小さな電光掲示板を指差して「そうそう、これも結構重宝しているんですよ。携帯電話からメッセージを送るとそのまま表示してくれます。待合室に貼ってあるポスターはあまり目にされないけれども、案外これは見てくれているんですよね。」と石川院長。

飼い主向けの医療セミナー、分かりやすい手作りの説明資料、充実したホームページなど、石川動物病院の一連の活動には、飼い主にわかりやすく伝えるという病院理念に通じるメッセージが強く存在し、これらがスタッフ全員の求心力になっていると確信した。

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