伴侶動物医療における血液凝固検査の現状と課題
| 著者: | 鬼頭 克也(岐阜大学応用生物科学部獣医学講座臨床獣医学系獣医寄生虫病学教室) |
SUMMARY:
伴侶動物の医療水準が向上し、これまでは診断や治療が難しかった疾患に対しても適切な処置が行えるようになった。 しかし、止血異常については、未だに正しい診断や治療が行われているとは言い難い。 明らかな出血症状を示さない無症候性の出血傾向を呈する症例を紹介し、血液凝固検査が特に重要であることを強調したい。 PT、APTT、Fibなどはスクリーニング検査であり、異常を検出しても、これらの結果だけでは通常は診断に結びつかない。 PTやAPTTがなぜ延長しているのか、その原因がどこにあるのかを決めるためには、血液凝固因子活性の測定、因子抗原量の測定あるいは循環抗凝血素の検出などの精密検査が要求される。血液凝固検査を行ったのに、得られたデータが診断や治療に結びつかなければ、検査の意義が失われてしまう。 したがって、診断を確定するための精密検査体制の確立が急務である。 外見上健康に見える固体に、止血機能検査を行うことなく避妊や去勢手術を施して出血事故が起きた場合には、獣医師の過失責任が問われることになる。 適切な検査をすることが医療倫理上重要であるため、血液凝固検査が臨床の現場に浸透し、止血異常の診断や治療が正しく行われることを期待する。
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